1年半の間、3ヶ月毎の定期通院を止めてしまっていた歯周病の患者さんがいらして。
『毎朝、口を漱ぐときに血痰が出るんです。それで、いろんなお医者さんを回って忙しくて、歯医者に来られなかったんです。。。いろいろ検査したんですけど、どこも悪くなくて、歯医者さんに行ってみたらどうですか?といわれてたので来たんです。』
診せて頂くと、前歯の歯肉がブヨブヨになって膿をだしています。
けれど、患者さんは気が付きません。。。。痛くないからです。
膿とは、わかりやすく言うと、血液の中の白血球と黴菌が戦って敗けた白血球の死骸のようなもので、絞り出すように痰を吐こうとすると、まさに戦っている最中の血液そのものが出て来ます。
沢山の白血球を届けるために、血管は膨れて太くなり赤く腫れています。。。。。。それでも気が付きません。。。。目の下の口の中は見えないのです。
常に歯周ポケットが5mm以上の場所が数か所あるその患者さんを支えてきた歯周病定期継続治療。
6回分をすっ飛ばした結果、ポケットは8mmにおよびました。
目に見える歯石はありません。
ここにも治療の継続が妨げられる誤解の原因があります。。。。。歯石が付いてるから取りに行くのが継続治療であって、ついてないのに歯医者に3か月ごとに行くなんて、歯医者のサギかもしれない、痛くないから行かなくていいわ、困ったときに行けばいいわ。。。。
違います。
歯石は形になるまで時間がかかります。
ましてや歯周ポケットが4mmある方となると、意外と歯石は付きにくいです。
歯肉がトロッとして張りが無くて、浸出液が出ているので歯石は付きにくいのです。
歯石はプラークが唾液中のミネラル成分で固められた物ですが、ポケットの深い人は、弱酸性の浸出液がでるので唾液で固めることはあまりなく、歯周病菌は栄養豊富な浸出液をごちそうとして増えてバイオフィルムを深く深く形成していきます。
歯ブラシの毛先が届くのはせいぜい2mm程度ですから、自分で磨ける範囲ではありません。
しかし、TVの影響で毛先の極細歯ブラシで磨けば奥まで磨けているように感じていらっしゃる。
深い歯周ポケットの中のバイオフィルムを取り除き、歯肉を回復(ポケット底を上げてくる)させる、実際に効力があるのはパウダー噴霧です。
しかし、取り組んでくださる患者さんはほんの一握りです。
医療が進歩しても、なかなか。。。。受け入れて頂くには、壁があります。。。日本の医療は安いので、病気になってもそれから治せばいいと思われる。
しかし、歯周病は静かに、死にいざなうサシレントキラーなのです。。。。。。口の中に血の味がしたら、歯医者に行きましょう。