6月という季節は実は上顎洞炎を患う人が多い季節です。
上顎洞炎と言ったら、副鼻腔炎の中の一つ。いわゆる蓄膿症という病気。
耳鼻科でなくて、歯医者がかかわるのは上の奥歯の傷みと関係が深いからです。
先日、たずねてきた患者さんは、かかりつけの歯医者さんを持っています。
そこの歯医者では、『多分。。。だから歯の神経をとろうか。。。』という診断でしたので、CT撮影希望で確定診断が欲しい。
出来るだけ歯の神経を取りたくない。。。という希望でした。
神経を取る必要が無ければ取らないほうが良いです。
しかし、歯髄神経に深刻な感染が起こってしまったら、感染源を除去することが必要です。
この場合、象牙細管に感染物質が侵入する前に除去できるかどうか、これがその歯の今後に関わってきます。
取りたくないけど、取らなきゃならないならば、できるだけ早い方が無難だと言うことです。
今回は、この季節に良くある上顎洞炎でした。
まず、抗生物質で炎症をひかせます。
上顎洞の中が膿でいっぱいになったら、CT画像でも判断が鈍るからです。
これは、CT画像の質にかかわるのかもしれないのですが、スライスピッチを細かくすると画像が正確になるのですが、一見しては観にくくなります。
スライスピッチは断面の切り方の幅のこと。
スライスピッチが荒いほうが絵的には綺麗に見えた気になるのですが、細かい部分の判定が鈍ります。
今回は、抗生物質で消炎してからのCT撮影にしました。
上顎洞炎だと分かっていて、抗生物質で消炎もできたのに、今更何故にCTを取るのか。。。。。というと。
鼻炎から来た一般的な上顎洞炎なのか、歯に由来する上顎洞炎で、更に歯の治療が必要なのかの判別の為です。
上顎洞と顎の骨の境目を見るのですが、今回は骨が見えません。
骨が無くても膜はあります。直接上顎洞内に根っこが出ていることは通常は無いと思っております。
上顎洞内のシュレーダー膜の厚みを測ります。
ある特定の歯根の上の膜厚みが特別に肥厚しています。
歯根に変形も見えます。
ということは、治療が必要なケースです。
今回の炎症は鼻炎から来ているかもしれません。。。。けれど、歯の中に異常は起きています。
口の中から診て分からないのか?。。。。。というと、一度綺麗に治された虫歯なので、見た目で分かりません。
歯髄診断で分からないのか?。。。というと、複根管歯においては、歯髄の生きているところと死んだところが混在すると分かりにくいのです。
かかりつけ歯科医での『感染根管治療』をお勧めしました。
歯髄神経を扱う治療費用は数千円と安いので、繊細な治療なのに治療の質が担保されてないのが気になる日本の治療です。
神経を取らない事等、その1本の歯にこれだけ真剣に向き合っている患者さんの場合。
『根管治療』は自費で治療する歯科医院も数少ないですが日本にもある事を付け足しておきます。
その患者さんだけ使用のリーマー、手術用顕微鏡の使用、MTAの使用等は、それだけで数万円の材料と備品を使います。
数千円の保険治療ではかなわない分野です。
高品質の治療はご希望があれば、ご提示します。
ご来院いただき、ご相談の上で。