歯周病は命を脅かす大問題です。日本人の二人に一人は癌になる時代。昔より歯を大切にする人が圧倒的に増えたのに癌は増えている。ならば歯磨きを一生懸命やっても癌になるのかならないのかは関係ないのではないかと思われてる節があります。違います。歯周病は癌の一因です。昔より歯を抜かなくなったのです。。。。歯周病でも『歯を抜く歯医者はやぶ医者』という間違ったメッセージがこの30年くらいに浸透しました。
抜歯しておかないと命を脅かす『重症歯周病の歯』
10年前に『痛くて噛めないけれど、かかりつけの歯医者は全部そろってるから大丈夫だっていうんです』と、奥様に促されて転医してきた男性に対して、入れ歯を用意したうえで2度に分けて11本の歯を抜いて、入れ歯を入れたその日から食べられるという治療をしたことがあります。その患者さんが友人に『今日6本の歯を抜いて初めて入れ歯を入れたんだ』と告白すると、その場にいた数人から『そんな歯を抜く歯医者はインチキ歯医者だからすぐやめた方がいいよ。大変なことになるよ』と言われたそうです。その翌日残りの5本を抜いてもう一つの入れ歯を入れて、その日から長年の悩みから解放されて美味しくご飯が食べられました。その患者さんはすでに大腸癌で大腸を失っていました。長年噛めないほどに悪化した歯周病に罹患した歯が大腸に戻れない傷を負わせたことは想像できます。それでも1本も抜かなかった歯科医が名医で、耐えがたい痛みを伴いながら膿を出し続けた歯を11本抜いた私は『インチキ歯医者』と言われたわけです。その後は1本も抜いてません。残った歯は徹底的に守っています。重症の歯周病だったのですから残した歯もそこそこ重症でした。今も季節の変わり目には徹底洗浄しています。
歯ブラシは電動の音波ブラシと手磨き歯ブラシの交互使いです。ポケット3mm以上であれば手磨き歯ブラシではポケット内は洗えていません。
歯磨剤は歯周病用の歯磨剤です。
高齢でもあるので毎月来院です。
ポケット洗浄とフッ素塗布は必須です。アミノ酸パウダー洗浄も部分的にしています。歯根は通常丸くありませんから窪みに潜む歯周病菌を駆逐するにはパウダーに圧をかけて洗いに行かせるのが効果的なのです。
『歯』は直接『骨』に植わっています。歯周病菌は毒素を出して『骨』を破壊し、血管に入り込み脳の中までも関門を通り抜け侵入し24時間休みなく体を攻撃していきます。認知症の原因にもなっています。歯周病の防衛ラインは歯周ポケット3mm迄です。4mmの歯周ポケットが見つかったら継続治療を怠ってはいけません。何とかしてポケット2mmに回復させましょう。
治療の手を尽くしてもポケット5mmから改善できないのであれば抜歯も考えてください。あなたの歯だから、あなたが『歯を抜かない』と決めると癌になっても抜けないのです。
『国民全員に歯科検診を義務化する』と総理大臣がおっしゃいました。口の中が細菌培養器のようになり健康を脅かしている。口の中の細菌を管理すれば医療費が減る。
総理大臣は分かっているのです。国民全員が歯医者に行くことを理髪店・美容院に行くがごとく習慣化すると、歯周病が抑え込まれ、健康寿命が延びて医療費が削減できることを。
日本の抱える医療費問題を『病気の川』の上流で食い止めるのは、『歯科医療』なのだと。
残念なのは、検診した後に治療に結びついてない社会の『歯科治療観』の低さです。『口腔の機能の保持』より『審美』に偏りすぎる社会ニーズ。『3か月に1回歯を磨きに来ても歯周病を抑え込むことができるかどうか、意識の向上はできるのか』歯医者をたたきつぶす勢いで社会は追い詰めていますが、歯医者は敵じゃないです。『本来は、守り人なのです』信頼を得ることはできるのでしょうか
もうすぐ『鳥インフルエンザのパンデミック』がやってきます。。。。獣の肉が食べられなくなり、蛋白源を野菜植物と昆虫食に頼らなければならない時代がやってきます。
歯周病は免疫を低下させます。歯周ポケット4mm以上はすぐ治療開始しましょう。