少し離れたところから来院された女性は50代ですが、30代から数回は食事中に息ができず死にそうになったそうです。
耳鼻科で診てもらっても異常はありませんでした。息ができずに味わう恐怖を解消できません。
中村歯科クリニックは神奈川県の嚥下指導歯科医院として歯科医師会のHPに登録されております。その情報を頼りに来院されました。
耳鼻科で内視鏡で見ても異常なしということは、形の異常は無し、炎症も見受けられない、という事ではないかと思います。
嚥下というのは、空気を肺に送る管を一瞬蓋で覆ってふさぎ、口から食物を食道に送り込む行為です。
むせるのは、食物が間違って気道に入ったという事。。。。すなわち、蓋が閉まらなかったという事なのです。
若い人も、熟年の人も、このむせる原理は同じです。
気道に入ったものをあわてて食道に押し返す行為が『むせ』なのです。そして、むせることができなくて気道にものが入ってしまうのが誤嚥です。
ですから、飲み込むときに正しく気道に蓋をするようにします。
それをどうやってやるかというと、
ノドをまっすぐ正しい位置に向けて、蓋がゆがんで端っこから流れ込むようなことの無いようにします。
正しい位置とは、嚥下の動きを正しく十分に行える咽頭部筋肉を自由に動かせる位置です。
その為にどうしたら良いのか?
まっすぐ前を向き
背筋を立てて、胸郭を広げ、
足の裏を地面につけて体幹に少し力を入れます。
そしてしっかりと咽頭部を動かし、蓋(喉頭蓋)をまっすぐに閉じさせます。
今日は、ノドの構造の説明をして、むせるという事はどういうことかを説明して、体の使い方の指導をしています。
胸郭の広げ方と体幹の使い方とノド周りのマッサージとストレッチの実習をいたしました。
この女性は若いころにノドの病気になり外科手術を受けた既往がありました。その時にノドを切開していますから筋肉を切断した経験があるのです。切断された細胞は修復しますが、修復するということは細胞が硬くなっている可能性あありますので、動きが悪い場合があるのです。私の指導は、この30年くらい前の手術の後遺症のリハビリに当たるのかもしれません。彼女は長年窒息の恐怖と戦ってきたのですが、どこで治すことができるのか、どこの診療科が答えをくれるのか分からなかったと言っていました。リハビリは始まったばかりですので、これで救われるのかどうかはまだ未知数ですが、歯科の大学病院には嚥下中のノドの様子を動画で撮影できるレントゲン機器もございます。このリハビリで改善ができなければ、大学病院に紹介してレントゲン動画を撮影するなどの原因を探る方法がまだあります。
ストレートネックでも、喉頭蓋の不完全な動きによって飲み物などが軌道に入りむせが起こります。